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こんにちは、今回は中古住宅の購入をご検討のAさん(40歳・男性)から、「気に入った物件があったので売買契約をしましたが、契約書には『決済までに抵当権などを抹消して買主に引渡す』旨が書かれています。ただ今も登記事項証明書(登記簿謄本)には抵当権がついたままです。大丈夫でしょうか?」という質問です。 博士、よろしくお願いします。 |
【抵当権】
抵当権とは、金融機関などがお金を貸す際に、不動産や権利(地上権など)或いは動産(自動車や機械、船舶、飛行機など)や財団に設定する担保のことです。
【根抵当権】
根抵当権とは、事業の資金繰りなどで継続的に発生する債務を、一定額(一定枠)まで担保するために利用される抵当権です。
※抵当権は設定時に債権額が特定されますが、根抵当権は設定時には一定範囲の債権額しか特定されないという違いがあります。
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抵当権も根抵当権も、権利が設定されても抵当権設定者や根抵当権設定者(債務者≒借主)は担保となっている不動産などを抵当権者や根抵当権者(債権者=貸主)に引渡すこと無く、自由に使えます。 ただ何れも、万が一、債務者の返済が滞ったときは、貸し手である債権者が競売などでその担保としている不動産などを売却し、債権を回収することになります。 |
ということは、抵当権が設定されたままで家を買ったら、ある日突然競売にかけられてしまうかも知れないってことですか? そんなことになったら不安ですね。そういう不動産を売りに出すことに問題は無いのですか? |
先に言ったように抵当権が設定されていたとしても、その不動産を貸すことも自由ですし、売ることも可能です。抵当権付き不動産を売買すること自体に問題はありません。 |
でも、なんだか怖いですね、自分の知らないところで競売などに掛けられるかもわからない訳ですから。 |
たしかに、抵当権を抹消しないままで残しておくと、売主が返済を滞らせた場合に抵当権の実行により債権者から競売にかけられ買主が所有権を失う恐れがあります。 ですから、通常の取引現場においては、売主が抵当権を抹消し担保権をきれいにして物件を引き渡すことが大前提になります。 一般的には、決済時に買主が支払った代金によって売主の借入金残額を一括で返済し、所有権移転登記と抵当権抹消登記とを同時に行います。 |
でも博士、売買代金で借入金が完済できない場合はどうなりますか?借入れの方が多くて、売買代金では足らないってこともあるんじゃないですか? |
そうですね、そういう場合は売主が手持ち資金を追加して抵当権を抹消するか、どこかで借りてきてでも抹消のための返済をしないと買主に引渡すことが出来なくなります。 ですから、債権者である金融機関などに事前に抵当権抹消が可能かどうかを確認する必要があります。 |
買主が金融機関に確認するんでしょうか?売主の手持ち資金や借入れ可能なのかといった「懐具合」を事前に確認するのは困難ですよね? |
いやいや、心配には及びません。信頼できる宅地建物取引業者であれば、売買契約の仲介をする際には事前に抵当権の存在とその内容を調査し、抹消できるかどうかを売主(抵当権設定者≒債務者)や金融機関(抵当権者=債権者)に事前に確認するはずです。 ですから、抵当権が抹消できないような物件は売買契約をしないでしょう。 |
ということは、宅地建物取引業者に仲介をお願いしている場合は、抵当権が抹消できないかもしれないなんて心配する必要はないってことですか? |
そうですね、仮に抵当権者の様々な事情で、売買契約締結後でなければ抵当権抹消同意が得られるか否かが確定しない場合は、「抵当権の抹消ができなければ白紙解除とする」という旨の特約を入れるはずです。 しかも、売買代金よりも債権額の方が大きい場合は、手付金を無し(0円)にするとか、手付金の授受があってもそういう場合は仲介業者が保全するなど、抵当権が抹消できずに契約解除となった場合でも、買主に不測の損害を生じさせないよう万全の方策を講じるはずです。 |
なるほど!抵当権が付いた不動産を購入する場合は、抵当権抹消が可能かどうか、また、もしもの場合にどのような方策が講じられているのかを事前に確認することが必要ですね。 |
気に入った物件が見つかり、契約をしようかと思っても、こうした問題が発生しそうで心配ならば、大阪宅建をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所などを積極的に利用し、契約前に事前相談して問題点の洗い出しと対策を検討するのがよいでしょう。 |