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「建築基準法の基本事項について 前編」

2018/07/31 カテゴリー: 売買 その他

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下記記事のPDFファイル
(容量:316KB PDF形式)いったんPCへ保存したのち開いて下さい。

 

 

 皆様こんにちは。今回は第一種低層住居専用地域内で約50坪の土地を購入したAさんからの相談だよ。Aさんの話によると、せっかく買った土地なので敷地面積いっぱいに家を建てようと思ったら、役所の人に「建築基準法で建ぺい率という制限があるのでそれはできません」と言われたそうなんだ。これってどういうことなの?博士教えてよ。

 

 そうだね。せっかく買った土地だし敷地を最大限有効利用して建物を建てたいよね。敷地面積いっぱい使えるものなら使いたいよね。でも、たくっち、敷地目いっぱいにお隣との隙間もなく家を建てるとどうなると思う?

 

 う~ん、そうだなあ、風通しとか陽当たりとかも悪くなると思うけど、それよりも、もし火事になったらすぐ隣に燃え移ってしまうんじゃないかな。すごく危険だよね。

 

 そのとおりだよ。家と家の間隔がなければそういったことが起きてしまうよね。そこで建築基準法という法律で建物の建築面積の敷地面積に対する割合がきめられているんだ。それが「建ぺい率」というものなんだ。例えば敷地面積100㎡で建ぺい率60%ということであれば60㎡までは建築面積に使っていいけれどあとの40㎡は周囲に隙間あけてよね。といったことなんだ。

 

 そうなんだ。自分の土地だからと言って好き勝手に敷地面積いっぱい使えないんだね。

 

 そのとおりだよ。

 

 じゃあ博士、その建築基準法という法律をもっと詳しく教えてよ。

 

 いいよ。まずこの建築基準法は、日本における建築物の最低基準を定めた法律で、昭和25年施行の歴史ある法律なんだ。全体構造としては集団規定と単体規定というものがあって、集団規定というのは原則として都市計画区域内の建築物に対して規制を加えるものなんだ。山深い周りに他の建物がないところであればどんな建物を建てても他の建物に迷惑をかけることはあまりないよね。だけど住宅地の真ん中に大規模な工場を建てたら周辺の住民は住めなくなるかもしれないよね。だから街の中の建物については特別の配慮が必要なんだ。そこで建築基準法では都市計画区域内の建築物に対してのみ適用される規定を定めているんだ。それが集団規定というものなんだ。もう一つの単体規定というものは全国どこの建物であっても適用される規定なんだ。例えば大規模な建築物については一定の基準に従った構造計 算によって安全性が確かめられたものとしなければならないとか部屋には窓を設けなさいとか建物そのものに対する種々の規定なんだ。

 

 そうなんだ。街の中での規定と建物自体との規定に大きく分かれるんだね。 Aさんが買った土地は第一種低層住居専用地域内だから街の中。だから都市計画区域内だよね。ということは集団規定が適用されるわけだね。そして、そこに建物を建てるわけだから当然単体規定も適用されるということになるよね。

 

 さすがたくっち。いつも鋭いね。感心するよ。

 

 博士ありがとう。ところで肝心のその集団規定について詳しく教えてよ。

 

 いよいよ本題だね。集団規定は大きく4つに分けることができるよ。
まず
 A 建物の使い道を制限する規制 用途規制
それから
 B 建物の大きさを制限する規制
  ①建ぺい率の規制
  ②容積率の規制
  ③敷地面積の最低限度の規制
そして
 C 建物の高さを制限する規制
  ①斜線制限
  ②日影規制
最後に
 D その他
  ①第一種・第二種低層住居専用地域・田園住居地域内における特別の規制
  ②建物の敷地に対する規制(道路規制)
  ③防火・準防火地域内の規制
これらについて詳しくお話していくね。

 

 よろしく!

 

 では、まずA 建物の使い道を制限する規制の用途規制というものについて説明していこう。ここでたくっちに質問だよ。相談者のAさんが自分の敷地に自宅とカラオケボックスを建てて商売をしようと考えました。自分の敷地であれば自由にどのようなものでも建てられるでしょうか?

 

 Aさんの土地は第一種低層住居専用地域内だから閑静な住宅街だよね。そんなところにカラオケボックスができたら人の出入りも多くなりうるさくて仕方がないよ。だからダメなんじゃない?

 

 そのとおり。第一種低層住居専用地域においては静かな環境を維持するために原則としてカラオケボックスは建てられないよ。このように都市計画で用途地域が定められているとその用途に相応しい土地の使い道が求められる。それにともなって建築できる建物も制限される。これが用途規制というものなんだ。13種類の用途地域それぞれに建築できるもの、できないものが定めてあるんだよ。例えば神社・教会・保育所などはすべての用途地域で建築可能だが住宅は工業専用地域のみ建築不可であとは可、小学校・中学校・高校は工業・工業専用地域が不可であとは可。このように細かく定められているんだ。

 

 博士ありがとう。自分の土地だからと言って好き勝手な建物を建てることはできないんだね。

 

 次にB 建物の大きさを制限する規制の①建ぺい率の規制だけどこれは最初に概略を説明したよね。これも各用途地域ごとに定められているんだ。例えば高級住宅地街であれば空地をたっぷりとって良好な住宅環境を維持すべきなのに対し、商店街は商売の効率を重視して空地の確保にはある程度大目にみる必要があるよね。このようにその用途地域に相応しい建ぺい率というのが定められているんだ。Aさんの場合も役所で確認してもらうといいね。あと特定行政庁の指定する角地であれば10%の緩和という措置もあるんだよ。

 

 その角地なら10%緩和というのはどういうこと?

 

 たくっち、角地って隣はなんだい?

 

 道路かな?

 

 だよね。道路に家ってある?

 

 ないよ。

 

 お隣に家がないのならもし火事になっても延焼しにくいよね。だから角地の場合建ぺい率が10%加算されることがあるんだよ。

 

 なるほど。次に②容積率の規制について教えてよ。

 

 いいよ。容積率とは建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合のことなんだ。例えば1階から3階までの各階床面積が60㎡、4階が20㎡の建物があったとしよう。延べ床面積は60㎡×3+20㎡で200㎡。敷地面積が100㎡なので、容積率は100分の200でつまり1分の2の200%ということになるんだ。 なぜこういう規制があるのかといえば、階数や各階の床面積を増やして、建物を大きくすると、その分だけ建物に出入りする人の数も増えることになり、土地を有効に活用することができるよね。しかし、その反面、住宅街に大きな建物が建ち並んで、人通りも多くなれば、静かな環境は望めないし、狭い道路に大きな建物がいっぱいあると、その道路はその建物を利用する人で混雑し、交通渋滞が発生する。そこで、この容積率を制限して地域の環境をよくしていき計画的に公共施設を整備していこうとしているんだよ。

 

 博士ものすごくわかりやすいよ。次に③敷地面積の最低限度の規制について教えてよ。

 

 建ぺい率や容積率の制限をしたとしても、敷地が狭いものとなったのでは、環境のよい街にはならないよ。敷地が狭いとどうしても窮屈な街になってしまうよね。また、高いビルが並ぶようなところでも細長いビルが林立し、敷地の広い一つのビルならば一つで足りるエレベーターや階段をビルごとに作らねばならず土地の有効利用の点からいってもあまり望ましいことではないよね。そこで敷地面積の最低限度を規制するんだ。各用途地域には、必要があれば建築物の敷地面積の最低限度を定めることがきるんだ。この最低限度が定められた場合には、建築物の敷地はその「敷地面積の最低限度」以上でなければならないんだ。この場合、建築物の敷地面積が最低限度未満となってしまうような敷地の分割は、原則として禁止になるよ。但し、この敷地面積の最低限度は200㎡以内の範囲と定められているんだ。あまり大きすぎると邸宅しか建たない街になってしまうからね。ほどほどにといったところだね。

 

 良好な街づくりのため、建築基準法はいろいろと考えられているんだね。

 

 そうなんだ。あとC 建物の高さを制限する規制、Dその他、単体規定とあるんだけどいったん前編はここまでとしよう。

 

 了解です。博士今日はありがとう。

 

 

 ライター 長村 良二(北摂支部会員)