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「ZEB(ゼブ)やZEH(ゼッチ)のゼロ・エネルギーの建物について・・・」

2023/01/16 カテゴリー: その他

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博士! もう年が明けちゃったよ。今年の干支は 癸卯(みずのと・う)で うさぎ年だよね、うさぎは ニンジンを食べてぴょんぴょんと元気に走り回っていてそれでいて平和主義でかわいらしいイメージがあるよね・・・
ところで、君は1年の勉強計画を立ててきたのかな、一年の計は元旦にありとはいうものの、すっかり食べ過ぎてごろごろと寝過ごしていたりなんかしていたら卯の様には元気に走り回りきれないんだよ。
しかし博士!それにしてもこんなに寒くなってきていても、うさぎは厚着をしなくても寒くはないの? やっぱり基本的に忍耐力が強いのかなぁ・・・僕なんて、冬は寒すぎて弱いんだ、それでいて夏は暑すぎて弱くこれもダメなんだよ。冬は暖房で厚着、夏は冷房で薄着で 空調で体調のバランスをとっているんだよ。 その点、うさぎは 何もしなくても 夏も冬も強いのかなぁ?尊敬するよ・・・
うさぎは動物だし、くるくると動き回っていたとしても、不動産はその位置からコマ劇場の様にくるくると動き回り続けるなんてことはできないんだよ。しかしそれにしても、うさぎの忍耐力もさることながら、昔は、冬が寒くて夏が暑すぎるような建物も多かったんだよね。しかしその後の現在までにどんどん断熱性や省エネルギー性が良くなって進化してきているんだよね、もちろん 家電製品(空調など)においても省エネの進化は著しいんだけれどもね・・・
今回のテーマは ゼロ・エネルギーの建物だから、まずは今後の一般的になりつつある ZEB(ゼブ)、 ZEH(ゼッチ)の意味から見てみようかな・・・
博士! ちなみに ZEB、ZEHっていったい何のことなの?
ZEBは ネット・ゼロ・エネルギービルと呼ばれていて、電気や熱などのエネルギー使用量を減らすために、断熱性能の高い壁や断熱性の高い窓やサッシ、LEDなどの省エネ機器などにより削減し、また太陽光発電の再生可能エネルギーなどを利用することを前提にしてできたビルで、消費する一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指してエネルギーを削減し、使用するエネルギーは自ら生産することによりエネルギーの消費をゼロにするというイメージだよ。実際のエネルギーがゼロということではなく、計算上のエネルギーがゼロということなんだ。
また、ZEB Ready(ゼブレディー)、Nearly ZEB(ニアリーゼブ)、 ZEB Oriented、 (ゼブオリエンテッド)といったものがあるんだよ。
では、ZEHは どういうことなの?
ZEHとは ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、外皮断熱の向上と高効率の住宅設備等の導入によって室内環境の質を維持しながら省エネルギーを実現し再生可能エネルギーを導入することで、一次エネルギー消費量の収支をゼロにする地球環境に優しい住宅で、快適性の高さを維持している。また申請のタイミングにより補助金も適用することが可能なんだ。国内では、エネルギー基本計画(令和3年10月閣議決定)において、2030年度以降新築される住宅については、ZEH基準の省エネルギー性能の確保を目指していくことで2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、経済産業省・国土交通省・環境省は連携して、住宅の省エネ・省CO₂化に取り組んできているんだよ。
ちなみにZ世代という言葉を聞くけど、その方たちとは関係ないの?
Z世代という定義は厳密に決められているわけではないが、アメリカ心理学会の場合には1997年生まれ以降を指すなど、日本においては概ね1995年の阪神大震災後から2011年の東日本大震災までに生まれた世代に相当し、2010年代から2020年代に掛けて社会に進出する世代となる。大半がX世代(日本ではバブル世代に近い)の子供世代に当たる。生まれた時点でインターネットが普通に使用できるという意味では、最初の世代となるため、今後、Z世代の彼らが新築住宅などを検討していく際には、ZEHは 十分に浸透しているという可能性があるんだよ。
なるほどどんどん進化していってるんだよね。 海外ではどうなっていたの?
まずは、主なものは省エネ性能で、先進国は、住宅の断熱性能や省エネ性能について、従来から基準を定めている。欧州各国は、近年、省エネ性能を高める施策にどんどん力を入れていて、おおかた3~5年ぐらいごとに省エネ基準が改正されてますます進化しているんだよ。日本の省エネ基準は、実質的には、平成11年基準といわれる23年以上も前に定められた基準のままでその後も省エネ基準の改正は何度か行われて計算の方法等は変化してきているが、要求されている断熱性能はあまり変わっていなんだよ。
では博士! 我が国の省エネ基準というものはいつからのものなの?
そうだね、以前から省エネ基準はあったんだが昭和54年の省エネ法からスタートして最近では、平成5年に新省エネ基準、平成11年には次世代省エネ基準になり平成25年には、1次エネルギー基準の創設などがあったんだが、ただ最近になって、住宅の省エネ性能の向上に向けた動きが活発になってきており、各種制度も新しくなりまた変更されつつもあるんだよ。
でも省エネのことよりも、日本の耐震性能が、優れていることのほうがやっっぱり大事ではないの?
たしかに、日本は地震が比較的多い国なんだが、建築基準法の耐震レベルとしては建物で見てもそれはかなり優れている方なんだよ。
じゃぁ博士! 耐震以外では何が大事なのか教えてよ・・・
ただ我が国が少し遅れていたのは、断熱性能と気密性能への取り組みだったんだよ。最初に出てきた動物のウサギのように 冬場に寒くても、何も羽織らなくても内も外も元気にぴょんぴょん走り回ることが出来るというのは、それにしても素晴らしいことだよね・・・
しかし、冬の寒い時を住宅の内外でのヒトでイメージしてみるとわかりやすいよね。
そりゃぁ博士! 動物だったらみんなそうではないの?あたりまえだよ。
でも ヒトも普通に動物だよね・・・・。
でも ヒトは 冬場はとても寒いと感じる方が多いのでシャツ1枚だけではなくて、たとえば、長そでのトレーナーなどを家の中では普通に着ていたりするよね。これは、住宅で考えてみると断熱材の役割に近いよね、しかし今度はそのまま真冬の夜に外に出るとトレーナー1枚では寒くてトレーナーのすきまから風がスースーしていることもあるんだよね。だから外に出るときにはコートやブルゾンを羽織ったりする。これはすき間を埋めるという役割で住宅で考えてみると気密性の役割なんだよね・・・
こうした動物の例え話はともかくとして、だから我が国においても、住宅における断熱性能と気密性能には、とても大事な役割があるということなんだよ。
では 博士っ エネルギーについてもかんたんに教えてよ。
まず、一次エネルギーとは、自然界から得られるエネルギー源のこと。
主には、石油、石炭、天然ガス、水力、太陽光などだよね。
また 二次エネルギーとは一次エネルギーを変換・加工して得られるエネルギーのことで 主には、電気、ガソリン、都市ガスなどだよね。
しかしそれぞれのエネルギーの単位自体は異なるんだけれどもね。
では博士、俗にいう省エネ・創エネ・蓄エネの違いってなに?
省エネとは省エネルギーの略で、エネルギーを効率良く使用することだよ。
先ほど出てきた 石油、石炭、天然ガスといった一次エネルギーは、永遠ではないので こういった一次エネルギーが枯渇してしまうと、そのエネルギーから生み出される二次エネルギー自体もなくなってしまうんだ。
たとえば、住宅においては省エネ設備の導入や、家の断熱性の向上やプランの取り方などの工夫によって、省エネを実現することができるんだよ。
また、創エネとは、エネルギーを創ることでたとえば太陽光発電などによってエネルギーを生み出して住宅設備に電気を供給していくことができる。自然の力で創り出すエネルギーによって、エネルギー自体を自給自足することができるんだ。
また、今は蓄エネという時代で、創エネによって生み出されたエネルギーを蓄えておくことができる。太陽光発電などで昼間に作った電気をうまく貯めておけば他の時間帯にでも効率的に電気を使うことができ、万一の災害などによって急に電気が使用できなくなった場合などにもとても役立つんだ。
そしてこのZEHは、省エネによって一次エネルギー消費量を削減し、創エネによって創出されたエネルギー量が消費量を上回れば、一次エネルギー消費量がゼロ以下に達する。こうして創出するエネルギー量が、使用するエネルギー量を上回るか、ほぼ同じ量になることを考えた住宅なんだよ。
それから博士っ! そうした省エネ性能などを表示する制度などはあるの?
かんたんに教えてよ。
そうだね、性能を表現する制度として、BELSやeマーク、CASBEEなどがあるよね。耳慣れないワードかも知れないが聞いたことがあるようなない様な雰囲気なのかもしれない・・・、まず近年に多いのが建築物省エネルギー性能表示制度BELSで、これは国土交通省、経済産業省、環境省などに関連する助成や補助金申請においての性能エビデンスとして用いられているよ。レストランではないんだけれども、BEI値を星表示で性能ランクを示すことができる第三者評価でもあり信頼性も高いんだ。また、eマークは、省エネ基準適合認定マークで主に既存建築物の適合基準を示すもので、省エネ改修などの評価基準として建築物や広告などに表示することができるんだ。次にCASBEEは、建築環境総合性能評価システムの意味で、環境性能そのものを評価し格付けできる五段階評価があって、総合的な評価も可能なんだよ。実際に建築物の省エネ性能を表示するメリットを考えて見ると、購入を検討されている方が冬も暖かく過ごせる家で、冷暖房のランニングコストがどの様になるのか?などをイメージしてエアコンなどの家電製品と同じ省エネラベルで表現していくことである。このことにより今後は住宅の省エネ性能が家電製品のように見やすくわかりやすくなってくることも考えられる。
となってくると、たとえば 今度は ZEB(ゼブ)の場合にはどんな実例がでてきたりしているの?
基本的には、再生可能エネルギーとしてよく知られている太陽光発電など以外でも地中の熱を利用することもできるんだ。こうした太陽光のように発電するというエネルギー以外でも地中にある自然の熱エネルギーをうまく使用することで、逆にエネルギー消費量を下げることもできるんだ。
地中の熱は、全国のどこにでも存在しているわけなんだけれども、発電するという考え方ではないんだが、地中よりも地下の温度を利用する設備システムの場合、夏は冷たく冬は温かい地中や地下の温度を自然のまま冷暖房などの熱源として再利用していくことで消費する電気の量を下げていくという考え方もあるんだ。
また、その土地に井戸などがあれば、冷暖房システムの熱源として地中の熱と同じく夏は冷たく冬は温かい井戸水を熱源エネルギーとして活用すれば、消費する電力量を大きく下げられ、ほかの省エネ設備などとうまく組み合わせることで効率がよくなる、逆にデメリットだと考えていたものを、うまく使えそうな再生可能エネルギーとして組み合わせていくことは、まさにゼロ・エネルギーの今後の考え方となる。それを利用したZEB仕様のビルが実際に建築されているんだよ。
また、これからは2050年カーボンニュートラルの目標達成に向けて温室効果ガスの排出抑制が課題になっているが、昨今は、海外でも戦争や国内でも自然災害などによりエネルギーの安定性に支障を及ぼす不測の事態も多くなってきている。そうしたこともあって今後は、快適性を損なわずに大切なエネルギーを効率よく利用していくにはどうしたら良いのかを考えていく機会が多くなりそうだよね。
ありがとう博士! 住宅もただ単に外側から見て写真を撮っているだけではなかなかわかりにくいんだよね。これからはこうした環境やエネルギーの再利用についても勉強していく必要があることがここでわかったよ。
でも今回のテーマはほぼ基本的な内容なんだよ、だから今後は省エネルギーに関連する改正などはよく見ておいた方が良いのかもしれないね・・・
また最近では戸建だけでなくZEH仕様の分譲マンションもどんどん増えてきているんだよ・・・
いやしかし、僕もこの冬の寒い中、うさぎの様にブルゾンも羽織らずにぴょんぴょんと走り回って見たいなぁ~ なんて考えながらも、コロナ対策もしっかり頑張ってまだまだ勉強していくことにするよ。
今年も、現地を見ていろいろな土地や建物、収益物件などに足を運んで 新しいものを見つけては、またまた博士にむつかしい質問をどんどんしていくよ・・・
もしわからないことや 不安に思うようなことがあれば、ふと考えたその時や、今まさに悩んでいるという場合においても、土地や建物の相談、また専門家の相談を受けてみたり、大阪宅建協会をはじめとする相談所などで様々なアドバイスなどを聞いてみると良いのかもしれないね・・・

 

 

 

 ライター: 研修インストラクター 西本 淳一(北摂支部)