<免責事項>
本サイトに掲載しているコンテンツは、一般消費者を主な対象としております。当協会は、掲載内容についてのトラブル等、いかなる責任も負いません。当事者間で解決してください。
本サイトに掲載されたコンテンツは掲載時点のものであり、利用者の特定の目的に適合すること、有用性、正確性を保証するものではありません。個別具体的な事案については専門家におたずねください。
予告なく内容の変更、廃止等することがありますが、当協会は、当該変更、廃止等によって利用者に生じた損害について一切の責任を負いません。
「当ホームページ」に掲載している記事、写真、イラスト、動画などのコンテンツの著作権は、(一社)大阪府宅地建物取引業協会(以下、大阪宅建協会)または 正当な権利を有する第三者に帰属しておりますので無断転載について禁止しております。
下記記事のPDFファイル
(容量:323KB PDF形式)いったんPCへ保存したのち開いて下さい。
今回は、賃貸借契約の保証人について博士にお話ししてもらうよ。 |
そうだね、まず保証人というのは一般的に入学、就職、入会などの時に求められる身元保証的なものと、借金などの債務の保証をする金銭保証的なものがありますが、不動産の賃貸借契約で求められる保証人では、その両方の性格を求められていると言えるでしょう。 |
そうだね、賃貸借契約自体が長期間になる可能性が有るので、友達とか仕事関係の人では将来連絡が疎遠になったり関係が途絶えたりするので、できるだけ身近な身内の方の方がいいね。 |
通常、保証人と言っているけど、賃貸借契約における保証人は「連帯保証人」という場合がほとんどなんだよ。 |
一般的にはあまり知られていないけれど、「保証人」と「連帯保証人」では大きな違いが有るんだよ。 通常の保証人の場合には、借主本人が借金などの返済を滞り、貸主から保証人に滞納家賃の請求をされた場合には、「まず、借主に請求してください。」と言えます。これを「催告の抗弁権」(民法452条)と言います。 |
それでも、借主からの支払がなく、貸主からの請求が有った場合には、「借主の資産を調べてくれ、それで借主が支払不可能の場合なら支払う。」と言えます。これを「検索の抗弁権」(民法453条)と言います。 |
また、専門用語だね、けんさくのこうべんけん、だね。 |
さらに、保証人が複数の場合には債務を人数分で割った範囲内での保証で良いという「分別の利益」(民法456条)が有るんだよ。 |
うん、そうだね。ところが、連帯保証人にはこれらの2つの権利と1つの利益は認められていないんだよ。 |
まず、借主が家賃などの債務の返済を滞った場合に貸主は、借主あるいは連帯保証人のどちらにでもその支払いを請求できます。借主よりも先に請求されても「催告の抗弁権」が無いので文句を言えません。そして、「検索の抗弁権」も無いので借主に資力が有ったとしても、そのことを理由に断ることは出来ません。また、連帯保証人が複数いたとしても「分別の利益」がないので人数に関係なく、それぞれの連帯保証人が債務全体の返済の義務を負うことになります。 |
へぇーっ、連帯保証人って責任が重いんだね。これなら、なかなか頼めないよっ。 |
でもね、貸している側の立場で考えると、もし、貸したものが返ってこないということなら貸す人が居なくなってしまうよ。 |
これらの保証契約には、平成16年の民法改正(民法446条2項)により貸主と保証人との間で「保証契約」を書面または電磁的記録で残さなくてはならなくなったんだよ。これは、それまで軽い気持ちで保証人を引き受けて重い負債を負ってしまうことがあるので、そのようなことを防ぐためなんだ。 |
借主も保証人もしっかりと内容を理解しておくことが大切なんだね。 |
また、最近は賃貸保証会社の利用も一般化されてきているよ。 |
賃貸保証会社は、借主が交通事故などで仕事に行けない間などの一定期間の家賃などを貸主からの請求が有れば、貸主に立て替えて滞納分を支払ってくれるんだよ。 |
賃貸保証会社は保険ではなく、あくまでも立て替えて支払ってくれているだけなので、障害がなくなり本来の生活に復帰した段階で立て替えた分の返済をどうするかの話し合いが行われます。 |
賃貸保証会社は、借主の滞納時の原因や状況において、借主の生活の回復が望めない場合には、賃貸借契約の解除などのアドバイスをすることも有るんだよ。 |
そうだね、そして賃貸保証会社をつけても、連帯保証人を要求される場合もあります。それは、立て替え払い分の回収のためもあるけど、万一、借主が行方不明などになった時などの部屋の明け渡しのために家財などを処分してもらうためということも有るんだよ。 |
そうだね、保証人の代わりに緊急連絡先を求められるケースもあるよ。 |
長い将来のためにいろいろなことを考えておかないといけないんだ。 |
将来のためと言えば、令和2年の4月1日から改正民法が施行されるんだよ。それには賃貸借契約における保証人に関する改訂が盛り込まれているんだけど、主に個人保証の保護が行われます。個人保証とは個人が保証人の事で、法人が保証人の場合は法人保証人と言うんだ。 |
そこには、個人保証に関して契約時に債務の額が決まっておらず変動する保証を根保証契約とし極度額を設定することとなるんだ。(改正民法465条の2) そして極度額とは、あらかじめ保証人が保証すべき極度を決めておき賃貸借契約書に記入しておくことと改訂されるんだ。もちろん極度額以上は免責となり保証する必要は無くなるんだよ。 |
個人保証の場合は、極度額を決めていなければ保証契約は無効となってしまうよ。そして、これは連帯保証人の場合も同じなんだよ。 |
そうだね、賃料の額にもよると思われますが、予想されている極度額は、賃料の12~36ヶ月分程度ではないかと言われています。 |
極度額だからそれ以下で収まればその額までなんだよ。それに、今回の改正民法の施行までは無制限だったんだから、前もって極度額が分かっている分だけ良くなったんではないかと思うよ。今後の改正民法の運用においてある程度の相場が出てくるかと思います。 |
あとは、貸主は保証人から請求が有れば、借主の家賃などの支払い状況、遅延損害金、損害賠償、その他借主が負担すべき全ての債務などを回答しなければならないんだよ。(改正民法458条の2) |
最後に、事業用の賃貸借契約の締結時に個人保証を依頼する借主は、自己の財産や収支、債務状況、担保として提供する物が有るかなどの情報を説明しなければいけなくなるんだよ。(改正民法465条の10) |
保証人としても知っておかなくてはいけないことだものね。 |
もし、借主が正しい情報を伝えていなかったり嘘をついていて、保証人がそれを信じ保証契約を締結した場合で、貸主がその情報が正しくないということを知っていた場合には、保証人は保証契約を取り消すことが出来るんだよ。 |
貸主は、借主からの正しい情報が保証人に伝わっているかの確認も必要なんだね。 |
そうだね、分からない点や不安に思うようなことがあれば、大阪宅建協会をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所まで相談して下さいね。 |
ライター 長尾 敏春(北摂支部会員)