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博士、今までのQ&Aで「空き家問題(第34回)」や「空き家対策(第44回)」について学んだけど、今回は「空き家の処分や有効利用」について教えてよ。 |
その為には、なぜ空き家が多くなってきたかを考えないといけないね。 |
人口減少により、若い世代が減ってきたからでしょ。 |
それも大きな要因だけど、核家族化に伴い親と別居する家庭が多く、親の死後、使われない家が増えているんだ。 |
なるほど。 |
そのなかでも、空き家になるきっかけはというと、6割近くが相続が原因なんだよ。 |
そういえば古いおうちに、新しく引っ越ししてくる人が少ないものね。 |
家を引き継ぐ人がなかったり、相続問題でつまずいたりして、放置されたままになっているんだ。 |
それなら相続を機会に、空き家対策を考えないといけないね。 |
そうなんだ。その為、空き家となった相続不動産を増やさないように、政府は平成28年の4月から譲渡所得税の面でも優遇措置をとっているよ。 |
どんな内容なの? |
相続した家を平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡し、一定の要件を満たした場合には、譲渡所得から3,000万円を特別に控除するという特例なんだ。 |
一定の要件とは? |
以下の表に示すとおりだよ。 |
要件項目 | 要件の内容 |
空き家の建築時期 | 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンションを除く)であること |
居住要件 | 相続開始直前において、被相続人のみが居住していたこと |
譲渡時期 | 相続時から相続開始日以降3年間を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること |
対象となる譲渡 | 被相続人の居住用家屋の譲渡または被相続人の居住用家屋及びその敷地の譲渡であること※1 被相続人の居住用家屋を除去した後におけるその敷地の譲渡であること※2 |
譲渡金額制限 | 譲渡額が1億円以下であること |
※本特例は、確定申告時に地方公共団体の長が※1※2の要件を満たすことを証とする書類の添付が必要
※1相続発生時から譲渡時まで、居住、貸付け、事業の用に供されていない事
※1譲渡時において、地震に対する安全性にかかる規定またはこれに準ずる基準に適合するものである事
※2空き家は相続発生時から除去時まで、居住、貸付け、事業の用に供されていない事
そんな、特例があるんだ。 |
この外に「空き家対策の推進に関する特別措置法」という法律により、特定空家として勧告された場合は、固定資産税が増税されることや空き家の除去命令・代執行など政府も空き家対策に積極的に動き出しているんだよ。 |
このままでは、空き家は増える一方なの? |
そうなんだ。空き家の問題は先延ばしするほど難しくなるからね。 |
建物は年々古くなるし、引き継ぐ人も年を取るものね。 |
だから、今回は相続をきっかけに空き家の処分について考えてみよう。 |
まず、空き家になった場合どうすればいいの? |
手始めに空き家にある家財道具を片付けてみてはどうだろう。 |
片づけ? |
というのは、空き家処分のすすまない原因は、親の遺品など家族の思い出の詰まった荷物が家に残っていることなんだ。 |
家財道具が残っていたら人に見せたくても見せにくいよね。 |
だから、家を見て相談に乗ってもらうことが空き家処分の第一歩だよ。 |
では、荷物の処分はどうすればいいの? |
家財道具の処分については、地方自治体の生活課の窓口で相談に乗ってもらえることも多いのでー度尋ねるといいね。 |
荷物を整理した後は次にどうすればいいの? |
まずは、信頼できる宅建業者を探して売却について相談をしてみてはどうだろう? |
家を見てもらい査定してもらうんだね。 |
そうだね。雨漏りがないかとか傾いていないかとか、場合によっては建物検査(インスペクション)もしたうえで、売却しやすくするんだよ。 |
安くてしっかりしている家なら、人も住みたくなるよね。 |
平成30年4月1日より宅建業法も改正され、建物の建物検査(インスペクション)等の説明も付加され、買主が中古住宅を安心して購入できるようにもなってきているんだ。 |
でも、宅建業者さんは価格の低い空き家についても相談に乗ってくれるのかな? |
実はこの業法改正により媒介報酬についても変更があり、空き家における宅建業者の手数料を増やすことによって取引を促しているんだ。 |
でも、買ってもらえない古いおうちはどうするの? |
その場合は建物を取り壊し更地にして売却するんだけど、売却できない場合もあるので慎重にしなければならないね。 |
なぜなの? |
更地にした場合、固定資産税は建物が建っていた時の3倍から6倍に跳ね上がるんだ。 |
だったら売れるかどうか分からないときは慎重に取り壊さなければならないね。 |
その為には、建物の解体費を差し引いた価格で買い取ってもらう方法もある。 |
でも思い通りの価格で売れるのかな? |
そうだね。思い通りに売却できない場合は、貸すことを考えなければならないね。 |
でも貸した場合は、こちらの都合で返してもらえないんでしょ? |
いや、契約期間を定めることによって期間満了後には必ず返還してもらえる定期借地契約や定期借家契約という制度もあるんだよ。 |
確実に返してもらえるなら、安心して貸せるよね。 |
そうだね、そのうちに売るタイミングがあるかもしれないしね。 |
でも貸すには建物を取り壊したり、建物を綺麗にしなければならないんでしょ? |
そうだね。更地にして駐車場としたり、改修したうえで賃貸住宅や賃貸店舗・倉庫にしたりする方法でね。 |
でも、改修するとなればお金がかかるよね。 |
家主が改修工事をしないで、借主みずからの負担で好きなように改修するDIY賃貸という方法もあるんだ。 |
DIY? |
「Do it yourself」借主が自分好みの改修を行い、賃貸にない持ち家感覚で賃借できる借家なんだ。 |
それなら自分の家のように愛着もわくし、長く借りても、もらえるね。 |
実際、借主が敷金や礼金を支払う代わりに改修費を負担したり、借主が賃料を前払したりすることや、貸主が一定期間賃料を下げることによって改修費に充てる場合もあるんだよ。 |
でも借主が負担した部分は、返してもらう際に弁償しなければならないんでしょ。 |
通常はそうなんだけど、最初に契約する際、そのまま無償で返還してもらうという取り決めをしておくんだ。 |
へえーそんなこともできるんだ。 |
そうすれば、お互い無駄がないだろ。 |
いろいろな貸し方があるんだね。 |
それには、空き家対策に積極的に関わっている宅建業者や地元に精通した宅建業者に相談することを進めるよ。 |
地元の? |
不動産の情報は地元が一番新鮮で豊富だし、空き家の処分や有効利用の場合は付随する手間や手続きが多いからね。 |
なるほど、ほっておいても負担ばかりで、値上がりする見込みも少ないものね。 |
空き家は放置するほど処分や有効利用が難しくなるので、早めに大阪宅建協会をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所で相談してみると良いよ。 |
ライター 西井 幸男(なにわ東支部会員)