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「売買契約と請負契約の違い」

2014/03/26 カテゴリー: 売買

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下記記事のPDFファイル
(容量:311KB PDF形式)いったんPCへ保存したのち開いて下さい。

 

 

 こんにちは、今回は、土地の売買契約と建物の建築請負契約を結び、建築確認を受けた後に土地建物売買契約に一本化する契約書に差し替えさせられ、法定上限額を超える仲介手数料を請求されてトラブルになっているというAさんからの相談です。

 

 新築住宅購入に関して相談に来られる方は、ご自身が締結された契約内容について十分理解されていない方が多く、Aさんのように契約内容をしっかり確認しないまま契約を結んでしまい、後になってトラブルが発生してしまうことも多いのです。

 

 そうなんです。Aさんも契約書の差し替え前と後で、何が変わるのかを理解されてませんでした。

 

 まず、一般的な新築住宅の購入契約について説明しましょう。
 新築住宅を購入される場合に考えられる契約形態としては、大きく分けて次の2つがあります。
土地建物売買契約
建築条件付土地売買契約+建築請負契約  
 つまり、マイホームを取得するにあたり、土地と建物をセットで購入するのがいわゆる「新築建売住宅」の売買契約(①)で、一方、売主または売主の指定する建設業者との間で建築請負契約を結ぶことを条件として土地を購入するのがいわゆる「建築条件付土地」の売買契約(②)です。

 

 それぞれの契約形態の違いについて理解することが必要なんですね。

 

 「新築建売住宅」と言っても、「建築前なので間取りの変更が可能です」との説明を受け、買主が注文建築であると錯覚する場合があります。
 また、建築条件付土地売買と建築請負契約の2つの契約を結んだ場合でも、土地の売主が建築工事を請け負うような場合は、買主は土地・建物セットで売買契約を結んだと錯覚する場合があります。
 一般消費者の方が自分の締結した契約内容を正確に理解するのは大変難しいのです。

 

 そうなんですね。では、「新築建売住宅」の売買契約と「建築条件付土地」の売買契約にはそれぞれどのような特徴があるのですか?

 

 簡単にまとめるとそれぞれ以下のような特徴があります。

 

【新築建売住宅の売買契約】
 土地と建物がセットで売買される契約形態であり、契約締結時、建物は未完成の場合も完成している場合もありえます。
 ただし、宅地建物取引業法により、未完成の建物については、建築確認(※)を受けていなければ広告を出すことができず(宅建業法第33条)、売買契約を締結することもできません(宅建業法第36条)。
 建築確認を受けているということは、建築基準法上の規制にかかるような設計変更は認められませんので、買主が自由に設計できる「自由設計」や「フリープラン」はありえません。

建築確認・・・建築基準法に基づき、建築物などの建築計画が関係法令に適合しているかどうかを着工前に審査する行政行為。

 

【建築条件付土地の売買契約】
 土地の売買契約を締結して土地を購入した後、売主または売主の指定する建設業者との間で住宅の建築プランを練り、一般的に2~3ヶ月以内に「建築請負契約」を締結することが条件となっている契約形態のことです。
 もし、期限内に建築プランがまとまらず建築請負契約が成立しなかった場合は、条件が達成されなかったことになり、土地の売買契約は白紙解除になるというものです。
 建築請負契約により建築される住宅は、注文者(土地の買主)が住宅の間取り・仕様などを自由に決定できる「注文住宅」です。

 

 さらに、建築条件付土地の売買においては、次の3点が広告と重要事項説明書に記載される必要がありますので、チェックしてみてください。
①取引対象物件が建築条件付土地であること
②建築請負契約を締結すべき期限(土地購入者が自己の希望する建物の設計協議をするために必要な相当の期間を経過した日以降に設定される期限)
③建築請負契約が成立しなかった場合には、土地売買契約は解除され、土地購入者から受領した金銭はすべて返還すること

 

 確かにAさんの契約書の中に『この土地は、売買契約締結後3か月以内に◯◯工務店と建物の建築請負契約を締結することを条件に販売します。この期間内に建築請負契約を締結されなかった場合は、土地売買契約は白紙となり、受領した手付金等は全てお返しします。』という条項が入っていました。

 

 それは、建築条件付土地売買契約書に記載されるごく一般的な条項ですね。

 

 では博士、今までの話をまとめると、新築建売住宅の売買と建築条件付土地の売買では、1つの契約を結ぶのか2つの契約を結ぶのかに大きな違いがあり、また、建物の建築プランを自由に決められるのかそうでないのかにも大きな違いがあるんですね。

 

 その通りです。
 では次に、土地や建物の「売買契約」と建物の建築工事に関する「建築請負契約」について違いを示しながら説明しましょう。
 売買契約と建築請負契約の大きな違いは、売買契約には宅地建物取引業法の規制がかかりますが、建築請負契約には宅地建物取引業法の規制がかからないということです。

 

 宅地建物取引業法の規制??

 

 例えば、契約を締結した後に買主の自己都合で契約を解除することとなった場合、宅地建物取引業法の規制のかかる売買契約であれば、売主が契約の履行に着手するまでは買主は手付金を放棄することにより契約を解除することができます(いわゆる「手付放棄」)。
 しかし、宅地建物取引業法の規制のかからない建築請負契約の場合、契約の解除にあたり手付金を放棄するだけでなく、契約に基づく違約金を請求されることがあります。

 

 他にはどのような違いがありますか?

 

 他には、売主が宅建業者の場合、宅地建物取引業法で定められている手付金の上限額の規制(売買代金の2割以内)や、一定額以上の手付金を受領する場合の保全措置を講じる義務などは、建築請負契約には適用されません。
 さらに覚えておく必要があるのは、建築請負契約には宅地建物取引業法の適用がありませんので、建築請負契約に関して損害を被ったとしても、宅地建物取引業法に基づく営業保証金又は弁済業務保証金による弁済の対象外となってしまうことです。

 

 色々と違いがあるんですね。
 では、Aさんのように、土地の売買契約と建物の建築請負契約を結び、建築確認を受けた後に土地建物売買契約に一本化する契約書に差し替えるというのは、一体どういう事なんでしょう?

 

 土地売買契約と建築請負契約を2段階で結ぶより、土地建物売買契約として一本化した契約を結ぶ方が金融機関のローン手続きも楽ですし、建物完成後の引き渡しまで金利も発生しません。
 加えて、先程もお話したように、土地だけでなく建物にも宅地建物取引業法の適用があり、何らかの損害を被った場合に弁済対象になりえますし、買主の自己都合で契約を解除する場合に、手付放棄での解除が可能というメリットがあります。

 

 買主さんにとって、メリットもあるんですね。

 

 そうですね。
 ただし、Aさんのように、仲介業者に支払う仲介手数料の額が、土地だけでなく建物の売買代金にまでかかってしまうというデメリットがあるのです。
 一部業者の中には買主さんが知らないことを利用して、不法に仲介手数料を受け取ろうとするケースもありますので注意する必要があります。

 

 では、Aさんのようなトラブルに巻き込まれないようにするには、どうすればよいのでしょう?

 

 新築建売住宅の売買と建築条件付土地の売買とに分けて、それぞれ注意点を説明しましょう。
 まず、新築建売住宅の売買の注意点ですが、営業マンのセールストークで「建築前なので間取りの変更は可能ですよ」というような説明を受けることがありますが、そのような言葉に惑わされないことです。
 建築確認を受けていれば、原則として建築プランの変更はできず、変更できるのは工程や検査に支障のない軽微なもののみです。
 「建売住宅」を買うということは、「既製品」を買うという認識を持つべきでしょう。

 

 なるほど、わかりました。

 

 次に、建築条件付土地の売買の注意点ですが、原則、建築プランは自由に決定できますが、実際には、業者が「モデルプラン」を用意しており、買主が自由に選択できる幅は限られていて「建売住宅」に近いものもあるということです。
 建築プランを十分練らないまま建築請負契約を締結してしまうと、思っていた建物が建たないということもあり、買主の要望を取り入れたプランにするにはオプション料金がかさみ、予算オーバーといったことにもなりかねません。
 また、先程もお話した通り、思っていた建物が建たないといって建築請負契約を解除しようとすると、違約金を請求されるなどのトラブルが発生することもあります。

 

 建築請負契約を結ぶ前にすべきことはありますか?

 

 必ず、契約締結前に、請負業者と間取り・仕様・図面・見積額まできっちりと決めておくことです。
 建築プランがまとまっていない段階で、土地売買契約と建築請負契約を同時に締結することは避けましょう。

 

 わかりました、契約は慎重にするべきですね。
 事前によく契約内容を確認したうえで、自分の思い通りの建物を建てたいならば土地売買契約+建物請負契約を結び、売主のプラン通りでも自分が気に入れば土地建物の売買契約を結べば良いんですね?

 

 そうですね、先程もお話した通り、それぞれの契約には長所・短所が有りますから、その契約内容をよく理解した上で契約するようにして下さい。
 わからないことがあったり、不安に思うことがあれば、大阪宅建をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所で事前にご相談下さい。
新築建売住宅 建築条件付土地
契約形態 土地建物売買契約 建築条件付土地売買契約+建築請負契約
広告の特徴 「建築確認番号」が記載されている 建築条件付きであること、請負契約の締結期限、請負契約が成立しなかった場合の措置が記載されている
建物の間取り・仕上げ材料等 変更不可 (売主業者が作ったプランであり、建築確認を受けた内容) 買主の自由
建物の状態 完成・未完成いずれもありえる
(未完成の場合、建築確認を受けていることが売買の要件となる)
未完成
(買主と請負業者がプランを練り、請負契約を締結した上で着工する)
宅地建物取引業法の規制 適用あり 土地の売買にのみ適用あり
請負契約には適用なし
仲介手数料 土地と建物の合算代金を基礎に算出される 土地の代金のみを基礎に算出される

 

 

不動産取引に関する知識(リンク)