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「収益物件購入の注意点」

2014/01/20 カテゴリー: 売買

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 昨今は、不動産投資がブームになっているようですが、今回は投資物件を購入し、結果的に収入ではなく支出が増えてしまったというAさんからのご相談です。

 

 不動産投資はまとまった資金を必要としますので、ひとつの間違いがその後の人生を左右することにもなりかねません。Aさんのどこに間違いがあり、結果的にいわゆる儲けの無い物件を購入することになったのか、見直して行きましょう。

 

 はい。Aさんは教師をされているのですが、ある日、自宅に「投資用マンションを購入しませんか?」という勧誘電話がかかってくるようになったそうです。初めは、「投資を考えるような経済的余裕はない」と断っていたそうですが、自己資金を出さなくても不動産投資ができることや、すでに賃貸中で、管理会社が家賃の集金も空室時の入居者募集もしてくれるなどの説明を受けているうちに前向きな気持ちになり、地方にあるワンルームマンションを購入したそうです。

 

 まず、この不動産業者はどうしてAさんに電話をかけてきたかということですが、名簿業者から買い取った名簿を見て電話をかけてきた可能性がありますね。

 

 「名簿」とは何ですか?

 

 Aさんのような公務員の方は収入が安定していることから、金融機関から資金の借り入れがしやすくなります。当然、業者は資金の借り入れがしやすい人から勧誘するほうが成約率が高くなるため、このような名簿が売買されているようです。

 

 自分の知らないところで個人情報が売買されているなんて恐いですね。

 

 そうですね。公務員だけでなく、高額所得者や会社経営者など様々な名簿が売買されているようですから、十分気をつけてください。
 では、次に、具体的にどのようなことが起こって支出が増えてしまったのでしょう?

 

 はい。購入後しばらくして、入居者から給湯器や排水管などの設備の補修を要求されることが度々あり、また、空室も出はじめたそうです。設備の補修費だけでも相当な負担だったようですが、新たに入居者を募集するにあたり、高額なリフォーム代を負担することにもなったようです。それでも空室はなかなか埋まらず、今では、賃料の値下げを検討せざるをえない状況にまでなっているようです。

 

 それは困りましたね。勧誘する不動産業者は、必ずといっていいほど、次のようなメリットばかりを説明し、購入後のリスクについては一切説明しません。

①自己資金がなくてもフルローン(100%融資)で購入できる

②家賃収入をローン返済に充てるので損をしない

③不動産投資は節税対策になる

④ローンを完済すれば、老後の私的年金になる など

 

 確かに、今の説明を聞いていると、マンション投資は楽して儲かるとても魅力的なサイドビジネスのように聞こえます。

 

 不動産収入は不労所得だという人もいますが、賃貸マンションの経営はビジネスです。ビジネスである以上、それなりの経営努力が必要ですし、必ずリスクを伴うことを認識する必要があります。耳触りのよい言葉に惑わされてマンション投資をするものではありません。

 

 マンション投資のリスクとは、具体的にどのようなものがありますか?

 

 そうですね。主に次のようなものが考えられます。

 

①空室リスク

 空室の期間も、当然ローンの返済と経費の支出はかさみますが、勧誘する際には、満室を想定した利回りしか説明しないことが多いようです。また、悪質なケースでは、業者が知り合いなどを物件に住まわせ、さも入居者がいるように装い、契約後まもなく入居者が次々と退去してしまったということもあるそうです。

②建物・設備の老朽化リスク

 老朽化が進むと修繕費や、借主退去時のリフォーム費用の負担も大きくなります。また、家賃を下げないと入居率の確保が厳しくなります。

③家賃滞納リスク

 家賃滞納者がいれば、家賃収入がないどころか、次の募集ができない分、空室以上のリスクがあります。
 家賃を滞納したまま借主が行方不明になったとしても、法的な手続きを踏まないと、貸主側から一方的に契約を解除し、家具の処分や部屋の明け渡しをすることはできません。

④事件・事故・災害のリスク

 地震や大雨による水害などの自然災害、火災や放火、物件内での自殺・死亡事故・殺傷事件など、想定外の事態が起こる可能性もあります。

 

 リスクを聞いていれば、マンション投資をするのは躊躇しますね。

 

 それら以外にも、ローンの金利が上昇するリスクもありますし、何らかの理由で物件を売却することになった場合の地価の下落リスクを負う可能性もあります。

 

 不動産投資を行う場合、どのようなことに注意すべきでしょう?

 

 投資用物件の購入に当たっては、詳細に収支計画を検討して決断する必要がありますので、素人が安易に手を出すのは大変危険です。
 Aさんのように「こんなはずじゃなかった」と後悔することがないように、不動産投資を行うなら、しっかりとした知識を身につけるか、プロの不動産コンサルティングを活用するほうがよいでしょう。

 

 では、Aさんは、どうすればよいのでしょう?Aさんは、期待していた収益が得られないどころか、不測の負担を強いられ、物件を手放したいとまで考えているそうです。

 

 そうですね。宅地建物取引業法の47条の2において、宅地建物取引業者が、契約の締結を勧誘するに際して、不確実な将来の利益に関する断定的判断を提供する行為は禁止されています。また、消費者契約法4条により、買主は、売主業者の不利益事実の故意の不告知により『誤認』して契約した場合、契約の取消しができるとされています。
 ですので、最寄りの消費者センターや大阪宅建をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所に相談するのがよいでしょう。

 

 さっそくAさんに伝えます。

 

 ただし、営業マンの説明について、「言った」「言わない」の争いになってしまった場合、不動産業者の責任を追及することは難しいですし、その物件の重要事項説明書や売買契約書に不備がなければ、買戻しや契約の白紙解除を求めることは極めて難しいと考えておくべきでしょう。
 Aさんは、できるだけ傷が浅いうちに物件を売却するか、物件を持ち続けるための運営管理を見直すか検討する必要があるかもしれません。

 

 そうですか・・・。やっぱり、不動産の取引は難しいんですね。

 

 そうですね。Aさんのようなトラブルに巻き込まれないためにも、事前に自己防衛の手段を知っておくことが重要です。
 近年不動産投資勧誘についてのトラブルが増加し、消費者センターで悪質な業者をリストアップしていることがありますので確認してみましょう。
 また、宅地建物取引業法施行規則でも「悪質な勧誘行為の禁止」というものが明文化されています。下記のような勧誘行為は明らかに違反行為ですので、毅然とした態度で断わり、それでも勧誘が続く場合は、大阪府の場合ですと「大阪府住宅まちづくり部建築振興課宅建業指導グループ」に相談されることをおすすめします。

 

「悪質な勧誘行為の禁止」

①勧誘に先立って業者の商号や名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘を行う目的である旨を告げずに勧誘を行うこと

②相手方が契約をしない旨の意思を表示したにもかかわらず、勧誘を継続すること

③迷惑を覚えさせるような時間の電話又は訪問による勧誘

④深夜または長時間の勧誘その他私生活又は仕事の平穏を害するような方法により、その者を困惑させること

 

 

大阪府の消費生活センター(国民生活センターHP内へのリンク)

 

独立行政法人国民生活センター(リンク)

 

大阪府住宅まちづくり部建築振興課(大阪府HP内へのリンク)

 

大阪府(リンク)

 

 

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